日本の歴史認識をめぐっては、アジア諸国から批判の声が噴出する中、日中両政府が、2008年中
にその研究成果を発表することで合意しました。
 これは、安部首相が、06年10月に訪中した時の首脳会談で共同研究が合意されたことによるもの
です。
 また、同年11月には、ハノイでの日中外相会談において、客観的な歴史認識を深め、相互理解を促
進するため、両国からそれぞれ10人の有識者で構成する委員会を作ることも合意されました。
 委員会では、「古代・中近世史」と「近現代史」の分科会を設置することにもなりました。
 そして、日中平和友好条約締結30周年に当たる2008年中に研究成果を発表することを目指してい
ます。

 06年12月26、27日の2日間の日程で初会合が開かれました。
 日中間で「戦争責任」などをめぐる歴史認識に相違のある近現代史について、①昭和初期まで
②満州事変から終戦③戦後に区切って研究することとなりました。
 
<委員会のメンバー>
 【古代・中近世史分科会】
      (日本) 川本芳昭、九州大学大学院教授 
            菊池秀明、国際基督教大教授
            小島  毅、東大大学院助教授
            鶴間和幸、学習院大教授
            山内昌之、東大大学院教授

      (中国) 蔣 立峰、社会科学院日本研究所所長
            湯 重南、社会科学院世界史研究所研究員
            王 新生、北京大教授

 【近現代史分科会】
      (日本) 北岡伸一、東大教授
            小島朋之、慶応大教授
            坂元一哉、大阪大大学院教授
            庄司潤一郎、防衛研究所第一戦史研究室長
            波多野澄雄、筑波大大学院教授
           
      (中国) 歩  平 、社会科学院近代史研究所所長
            王 建朗、社会科学院近代史研究所副所長
            栄 維木、社会科学院近代史研究所「抗日戦争研究」編集長
            陶 文釗、社会科学院米国研究所研究員
            徐 勇  、北京大教授
            ■ 運祜、北京大助教授

  

 今回の日中歴史共同研究は、両国による史上初の共同研究ではないかと思われます。
 その、議論の中心は、侵略戦争の被害に対する認識や評価が一番大きな眼目でしょう。
 しかし、その研究範囲には2000年にわたる交流史についても触れられるとあります。
 そうなりますと、3世紀から7世紀にかけての出雲王朝の存在、あるいは唐によるこの列島の征服、
その後の藤原氏が唐の勢力であるという認識などが、中国側から提起されるようなことがあれば、古
代史解明にとって、大きな歴史的進展となる機会になるやもしれません。
 ただ、未だに1300年前の記紀史観のもとにある日本歴史学会が、それを受け入れるとは到底考え
られません。
 わが国の極めて歪曲された記紀史観が、現代の世界との交流にとって大きな障害であることが、白日
のもとに晒される機会になるかもしれません。
 当会としても、この両国による研究の推移に、重大な関心を寄せているところであります。

 

『日中歴史共同研究』が始まる
2008年中に研究成果発表で合意
12月26,27日に初会合が開催される
わが国の古代史解明の機会に


第2回会合開かれる

 07年3月19、20日の2日間、日中歴史共同研究の第2回会合が、東京で開催されました。
 今回は、共同研究の具体的なテーマが設定され、今後の研究の進め方が議論されました。
 そして、08年6月までに提出予定の報告書は、「古代・中世史」「近現代史」の2巻構成とし、各章ごとに日中の学者がそれぞれ作成した論文を掲載することになりました。
 また、「共通関心事項」が設定され、南京大虐殺や靖国問題などについて必ず触れる事でも合意されました。
 ただ、今、世界中で問題となっている「従軍慰安婦」問題は、今回の会合では議論されなかったようです。
 歴史共同研究は、07年9月をめどに、日中それぞれで論文を作成して交換し、全体会合を07年12月と08年6月に開催して報告書をまとめる予定となっています。
 古代史も含めて、歴史認識に大きな問題がある日本側から提出される論文には、あまり期待が持てないように思えます。
 むしろ、中国側から、どういった論文が提出されるか大いに関心が寄せられるところです。
 その内容によっては、未だにおよそ1300年前の古事記・日本書紀に基づく偽りの歴史認識のままになっているわが国の古代史が、正しく書き換えられる一歩になるかもしれません。、
 その論文が、どの程度公開されるのかも気になるところです。


第2回会合開かれる

 08年1月5~6日、北京の中国社会科学院で日中歴史共同研究第3回会合が開かれました。
 同年7月には、東京で開催される第4回会合で報告書を提出する予定となっています。
 今回、「古代・中近世史」「近現代史」の両分科会ですでに完成している論文についての議論が
行われています。
 提出される報告書には、それぞれ16本・17本の論文が掲載される予定です。
 両分科会では、3月にも東京で会合を開き、引き続き議論される予定となっているようです。
 会合終了後の記者会見では、日本側座長の北岡伸一東大教授は、「歴史認識問題で白熱する
場面もあった」と述べています。
 また、中国側座長の歩平・社会科学院近代史研究所長は、「一部存在する歴史認識の相違は、
さらにじっくり研究を続けたい」とも述べています。
 今、まさに自らに都合よく歴史を作り変えてきているこの国の歴史認識のあり方が問われている
のかもしれません。
 古代史にあっても、この国の成り立ちも含めて、未だに大陸侵略を基本理念としている1300年
前の記紀認識にしがみ付いているようでは、近隣諸国と共通の歴史認識に至ることは難しいと言
わざるを得ません。